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大阪大学 化学 2020年度 第1問 過去問解説

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【I】
問1 問2 基本問題。いずれも分子なので分子間力が働く。似た構造の分子なら分子量が大きいほどファンデルワールス力は強く働くので, 沸点に関して
HCl < HBr < HI
が成り立つ。

しかし, HF はファンデルワールス力に加えて水素結合もするため, HF の沸点が一番高い。
したがって, HCl < HBr < HI < HF となりこの順に物質ア, イ, ウ, エ となる。

問3 カルボン酸のカルシウム塩とフッ化水素酸の反応をまず考えると,CaFX2が生じることが分かる。受験勉強ではホタル石として有名。気体の製法のところではフッ化水素の製法で出てきている。
CaFX2+HX2SOX4CaSOX4+2HF

自然界でホタル石として安定に存在できるのだから, 水には難溶だということが分かる。
(水に可溶であれば、雨による降水によって溶けるはずだ。)
フッ化水素酸はフッ化水素の水溶液なのだから, 人体に有害な HFCaFX2に変化させることで皮膚への吸収を抑えて害を和らげることができるだろうとの推測ができる。
ちなみに体内に入ってしまったらどうなるのだろうか。参考までに, フッ化水素酸による化学熱傷の症例に関する話を引用しておく。

フッ素イオンは組織中の Ca イオンと結合して不溶塩(CaF2)を形成し組織の Ca イオンの欠乏を引き起こす.このため細胞の膜電位が変化し、神経終末から K イオンが放出されて激痛を生じる.またすべてのフッ素イオンが不溶塩になるまで組織傷害は続き、腱、骨膜、骨にも傷害を起こすことが知られている.(略)治療において最も重要なことは、早期に十分な水洗を行うことである.最低30分以上は行う.また指趾では爪下にフッ化水素が残留するのを防ぐため爪切りも重要である.次に、フッ化水素イオンを不活化させる必要がある.組織内の Ca イオンの不足に対し、Caイオンを補給することで全てのフッ化水素イオンを不活化し、深部への浸透を防止するとともに組織の Caイオンの欠乏も改善する.

【II】
問4 NHX3+HX2O NHX4X++OHX
上の平衡式において, pHが大きくなると [OHX]が大きくなるので, ルシャトリエの原理から平衡が左に移動して[NHX3]が大きくなる。
さらにK1の式より [NHX3]が大きくなると平衡は右へと移動するから, [AgX+]は小さくなる。

問5 [A1]と[A2]は解答に使えないことから, これらを消去することを念頭においておく。まずK1K2をかければ, [A1]が消える。

K1K2 = [A2][AgX+][NHX3]2

これを[A2] = に変形してからATの式に代入し
さらにK1の式を [A1] = に変形して代入する。

AT=[AgX+]+K1[AgX+][NHX3]+K1K2[AgX+][NHX3]2
よって,
[AgX+]=AT1+K1[NHX3]+K1K2[NHX3]2

問6
アンモニアの Kbを使う(かもしれない)のでアンモニアの電離式を再掲。
NHX3+HX2ONHX4X++OHX

Kb=[NHX4X+][OHX][NHX3]=[NHX4X+]KW[NHX3][HX+]
2 つ目の = は水のイオン積 [HX+][OHX]=KW を用いた。

[HX+]=[NHX4X+]KW[NHX3]Kb・・・①

[A1]=[A2] より, K2=1[NHX3]

さらに, NT=[NHX4X+]+[NHX3]

この 2 式を ① に代入

[HX+]=(NT1K2)KWKb×1K2=(K2NT1)KWKb

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