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【慶應義塾大学】2023年度 薬 第3問 解説

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目次

第3問

1.
問1ア 二酸化窒素  イ 一酸化窒素  ウ  四酸化二窒素
問2$\ce{3NO2 + H2O -> 2HNO3 + NO}$
または
$\ce{2NO2 + H2O -> HNO3 + HNO2}$
問3(a) 下方 $2, 3$
問4$3$
問5X $\ce{2NO2}$  Y $\ce{N2O4}$
問61) $\pu{59.5 (kJ)}$

2) $1$

3) この平衡反応が発熱反応なのでルシャトリエの原理により平衡が左に移動し、
赤褐色である $\ce{NO2}$ の濃度が高くなるため。
問7(24) $1$ (25) $5$ (26) $0$ (27) $1$
問8(28) $3$ (29) $3$ (30) $1$
問9(31) $1$ (32) $4$ (33) $0$

問1

銅に濃硝酸を加えると二酸化窒素 $\ce{NO2}$ が、希硝酸を加えると一酸化窒素 $\ce{NO}$ が生成する。

また、二酸化窒素は二量体である四酸化二窒素 $\ce{N2O4}$ と平衡状態にある。

問2

二酸化窒素は水に可溶である。冷水の場合は、下の反応により亜硝酸が生成する。

$\ce{2NO2 + H2O -> HNO3 + HNO2} \ \cdots\cdots$ ①

温水の場合は、亜硝酸は分解される。

$\ce{3HNO2 -> HNO3 + 2NO + H2O} \ \cdots\cdots $ ②

( ① $\times3$ + ② )÷ $2$ より、 温水に溶解する反応は次の反応式になる。

$\ce{3NO2 + H2O -> 2HNO3 + NO}$

これはオストワルト法で出てくる反応式なので、こちらを解答にすると書きやすかっただろう。

問3

大学受験における気体の捕集方法は、以下のように整理して覚えると良い。

まずは水上置換する気体(=水に溶けにくい気体)を抑える。

$\ce{NO, CO, H2, O2, N2}$ (農工水産地 のリズムで覚える。←昔からある覚え方。)

上方置換は $\ce{NH3}$ のみ。

それ以外は下方置換で良い。

ということで、$\ce{NO2}$ は下方置換。

選択肢のうち下方置換をする気体は、2)$\ce{HCl}$ と3)$\ce{H2S}$ が該当する。

問4

$\ce{NO2}$ は赤褐色、$\ce{N2O4}$ は無色である。

問5

二酸化窒素が二量体を作る反応式を完成させれば良い。

$\ce{2NO2} \rightleftarrows \ce{N2O4}$

問6

1)
公式 (反応熱 = 生成物の生成熱 – 反応物の生成熱)を用いると良い。
求める熱量を$\pu{Q [kJ]}$ とおくと、

$Q=-8.50-2\times(-34.0)=59.5$

(答)$\pu{\boldsymbol{59.5 (kJ)}}$

2),3)
1)より、この平衡反応 (I) は発熱反応であることが分かる。
したがって温度を上げると平衡は左に移動して、$\ce{NO2}$ の濃度は増加する。
これをまとめれば良い。

(答)この平衡反応が発熱反応なのでルシャトリエの原理により平衡が左に移動し、赤褐色である $\ce{NO2}$ の濃度が高くなるため。

問7

コック1を開く前まで体積は一定であるから、モル濃度を用いて考える。

はじめに$\pu{1.5 mol}$ の $\ce{NO2}$ を加えたので、モル濃度は

$\dfrac{1.5}{2} = \dfrac{3}{4} \pu{ mol/L}$

平衡反応(I) に従って、$\ce{N2O4}$ が $x$ $\pu{ [mo/L]}$ 生成したとすると、

(反応表を書いて)

$\ce{NO2}$ が $\dfrac{3}{4}-2x$ $\pu{ [mol/L]}$ 残ることが分かる。

(I) 式の平衡定数の値が $0.50 = \dfrac{1}{2}$ であることより、

$K=\dfrac{[\ce{N2O4}]}{[\ce{NO2}]^2}$

$\begin{align}
\dfrac{1}{2} &= \dfrac{x}{(\dfrac{3}{4}-2x)^2} \\
\\
2x &= \dfrac{9}{16}-3x+4x^2\\
\end{align}$

$\begin{align}
64x^2-80x+9 &=0\\
\\
(8x-9)(8x-1) &=0\\
\\
\frac{3}{4}-2x>0 \text{より}\\
\\
\end{align}$
$x = \dfrac{1}{8}$

故に、 $\pu{2.5 mol}$ の $\ce{NO2}$ を入れる直前は、

$\dfrac{3}{4}-2x=\dfrac{3}{4}-\dfrac{1}{4}$

より、$\dfrac{1}{2}$ $\pu{ mol/L}$

平衡状態はそれに至るまでの途中経路によらないので、

始めから $\pu{1.5 mol}+\pu{2.5 mol}=\pu{4.0 mol}$ の $\ce{NO2}$ のみが $\pu{2 L}$ の容器に入った状態からスタートしたと考えても良い。

このとき $\ce{N2O4}$ が $y$ $\pu{ [mol/L]}$ 生成したとすると、

(反応表を書いて)

$\ce{NO2}$ は $2(1-y)$ $\pu{ [mol/L]}$ 残ることが分かる。

(I) 式の平衡定数の値が $0.50 = \dfrac{1}{2}$ であることより、

$\begin{align}
\dfrac{1}{2} &= \dfrac{y}{4(1-y)^2} \\
\\
y &= 2(1-y)^2\\
\end{align}$

$\begin{align}
2y^2-5y+2 &=0\\
\\
(2y-1)(y-2) &=0\\
\\
2-2y>0 \text{より}\\
\\
\end{align}$
$y = \dfrac{1}{2}\\$

故に、 $\pu{2.5 mol}$ の $\ce{NO2}$ を入れた後の平衡状態において

$\ce{NO2}$ は $2-2y = 2-2\times\dfrac{1}{2}=1$

より $\pu{1 mol/L}$

したがって濃度変化は、

$\pu{1 mol/L}-\pu{\dfrac{1}{2} mol/L}=\pu{\dfrac{1}{2} mol/L}$

(答)$\ce{NO2}$ のモル濃度は 増加 (選択肢 1)し、その変化量は $\boldsymbol{\pu{5.0E{-1} mol/L}}$ である。

問8

続けてコック1を開くと、体積が $\pu{9 L}$ となるので、操作直後のモル濃度は

$\ce{NO2}$ は $\pu{1 mol/L} \times \pu{2 L} ÷ \pu{9 L} = \pu{\dfrac{2}{9} mol/L}$

$\ce{N2O4}$ は $\pu{\dfrac{1}{2} mol/L} \times \pu{2 L} ÷ \pu{9 L} = \pu{\dfrac{1}{9} mol/L}$

問題文にはこの操作後の平衡状態の値を聞いているので、前問と同じように平衡の計算を進めていく。


$\ce{N2O4}$ が $z$ $\pu{ [mol/L]}$ 反応したとすると、

(反応表を書いて)

$\ce{NO2}$ は $\dfrac{2}{9} + 2z$ $\pu{ [mol/L]}$

$\ce{N2O4}$ は $\dfrac{1}{9} – z$ $\pu{ [mol/L]}$

(I) 式の平衡定数の値が $0.50 = \dfrac{1}{2}$ であることより、

$\begin{align}
\dfrac{1}{2} &= \dfrac{\dfrac{1}{9} – z}{4(\dfrac{1}{9} + z)^2} \\
\\
\dfrac{1}{9} – z &= \dfrac{2}{81}+\dfrac{4}{9}z +2z^2\\
\end{align}$

$\begin{align}
162z^2 +117z -7 &=0\\
\\
(9z+7)(18z-1) &=0\\
\\
\dfrac{2}{9} + 2z >0 かつ \dfrac{1}{9} – z >0 \text{より}\\
\\
\end{align}$
$z = \dfrac{1}{18}\\$

$\ce{NO2}$ は
$\dfrac{2}{9} + 2z = \dfrac{2}{9} + 2\times\dfrac{1}{18} = \dfrac{1}{3}$

(答)$\boldsymbol{\pu{3.3E{-1} mol/L}}$

問9

$\ce{Ar}$ を注入する直前の気体の物質量の合計は、

($\ce{NO2}$)+($\ce{N2O4}$)

$= \pu{\dfrac{1}{3} mol/L}\times\pu{9 L}+\pu{\dfrac{1}{18} mol/L}\times\pu{9 L} = \pu{\dfrac{7}{2} mol}$

$\ce{Ar}$ を注入して均一な混合気体としたときの物質量比は、

$\ce{NO2} : \ce{N2O4} : \ce{Ar} = 3 : \dfrac{1}{2} : \dfrac{3}{2}$

$= 6 : 1 : 3$

混合気体は均一な状態になっているので、それを排出する前後での気体の物質量は変わらない。

さらに$\ce{Ar}$ を入れる直前と混合気体の排出後では、全圧が等しいという条件になっており、体積・温度も一定であることから、物質量の値も変わっていない。

排出後の $\ce{NO2, N2O4, Ar }$ の物質量の合計が変わっていないことから、

排出後の容器内にある各物質のモル濃度は、

$\ce{NO2}$ : $(\pu{\dfrac{7}{2} mol} \times \dfrac{6}{6+1+3}) ÷ \pu{9 L} = \dfrac{7}{30} $ $\pu{ (mol/L)}$

$\ce{N2O4}$ : $(\pu{\dfrac{7}{2} mol} \times \dfrac{1}{6+1+3}) ÷ \pu{9 L} = \dfrac{7}{180} $ $\pu{ (mol/L)}$

ここから容器の温度を変えて(まだあるの・・・)新しい平衡状態としている。

平衡時の $\ce{NO2}$ のモル濃度が $0.20 = \dfrac{1}{5}$ $(\pu{ mol/L})$ であることから、

(反応表を書いて)

平衡時の $\ce{N2O4}$ のモル濃度は $\dfrac{7}{180} + 2\times\dfrac{1}{30} = \dfrac{1}{18}$ $(\pu{ mol/L})$

したがって、新しい平衡定数は、

$K=\dfrac{\dfrac{1}{18}}{(\dfrac{1}{5})^2} = \dfrac{25}{18} = 1.38 \cdots$

(答)$\bold{\pu{1.4\times10^0} (mol/L)^{-1}}$


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