錯イオン・錯塩に関するイオン反応式,化学反応式の作り方


錯イオン・錯塩が絡む反応式について紹介する。錯イオンそのものの話に関しては,こちらのページを確認してほしい。

目次

アンモニアによって錯イオンを形成する場合

反応式を作るだけであれば,次のようにできる。配位子を交換するイメージである。なお,過剰のアンモニアによって錯イオンを形成する代表的な例は $\ce{Cu, Ag, Zn}$である。(稀に$\ce{Ni}$も登場する。)

水酸化銅(II)と過剰のアンモニア水による錯イオンの生成

イオン反応式は、$$\ce{Cu(OH)2 + 4NH3 -> [Cu(NH3)4]^2+ + 2OH-} $$である。

手順
問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

$\ce{Cu(OH)2 + NH3 -> [Cu(NH3)4]^2+}$

手順
金属と配位子の数を見て係数をつける

$\ce{Cu(OH)2 + 4NH3 -> [Cu(NH3)4]^2+}$

手順
金属についている化学種がアンモニアと交換されることで,追い出されるイメージを持って残りを書く。これで完成。

$\ce{Cu(OH)2 + 4NH3 -> [Cu(NH3)4]^2+ + 2OH-} $
この場合は$\ce{Cu}$についている $\ce{2OH−}$ が 4 つの $\ce{NH3}$ によって追い出された(交換された)と考えれば良い。

ほぼ同じであるが,水酸化亜鉛についても見ておこう。

水酸化亜鉛と過剰のアンモニア水による錯イオンの生成

イオン反応式は、$$\ce{Zn(OH)2 + 4NH3 -> [Zn(NH3)4]^2+ + 2OH-}$$である。

手順
問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

$\ce{Zn(OH)2 + NH3 -> [Zn(NH3)4]^2+}$

手順
金属と配位子の数を見て係数をつける

$\ce{Zn(OH)2 + 4NH3 -> [Zn(NH3)4]^2+}$

手順
金属についている化学種がアンモニアと交換されることで,追い出されるイメージを持って残りを書く。これで完成。

$\ce{Zn(OH)2 + 4NH3 -> [Zn(NH3)4]^2+ + 2OH-}$

酸化銀と過剰のアンモニア水による錯イオンの生成

イオン反応式は、$$\ce{Ag2O + 4NH3 + H2O -> 2[Ag(NH3)2]^+ + 2OH-}$$である。

銀の場合は水酸化物 $\ce{AgOH}$が不安定で,水溶液中では褐色の酸化銀に変化している。$$\ce{2Ag+ + 2OH- -> Ag2O v}$$そのため,水酸化銀との反応というよりは酸化銀との反応で出題されることになる。

手順
問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

$\ce{Ag2O + NH3 -> [Ag(NH3)2]^+}$

手順
金属と配位子の数を見て係数をつける

$\ce{Ag2O + 4NH3 -> 2[Ag(NH3)2]^+}$

※ 金属元素である $\ce{Ag}$ の個数に注意。

手順
金属についている化学種がアンモニアと交換されることで,追い出されるイメージを持って残りを書く

$\ce{Ag2O + 4NH3 -> 2[Ag(NH3)2]^+ + O^2-}$

手順
両辺に $\ce{H2O}$ を足して,$\ce{O^2-}$ を消去して完成。

$\ce{Ag2O + 4NH3 + H2O -> 2[Ag(NH3)2]^+ + 2OH-}$

$\ce{O^2-}$ は水中ではかなり不安定で,すぐに $\ce{H2O}$ と反応する。そのため最後にこの手順が必要となる。

水酸化ナトリウム水溶液によって錯イオンを形成する場合

実際に生じている現象に則って反応式を作ることもできるが,次に示すように酸化還元反応の半反応式をつくるような手順でつくることもできる。最後だけ $\ce{H}$ の数をあわせるときに $\ce{H+}$ではなく $\ce{H2}$ で合わせるところだけ注意する。なお、過剰の水酸化ナトリウム水溶液によって錯イオンが生成する元素は両性元素($\ce{Al, Zn, Sn, Pb}$)である。

アルミニウムと過剰の水酸化ナトリウム水溶液による錯イオンの生成

化学反応式は $$\ce{2Al + 2NaOH + 6H2O -> 2Na[Al(OH)4] + 3H2}$$ である。

手順
問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

$\ce{Al + NaOH -> Na[Al(OH)4]}$

手順
$\ce{H, O }$ 以外の原子の数を揃える。

今回は $\ce{Al, Na}$ の数がすでに揃っている。
$\ce{Al + NaOH -> Na[Al(OH)4]}$

手順
$\ce{O}$ の数を $\ce{H2O}$ で合わせる。

$\ce{Al + NaOH + 3H2O -> Na[Al(OH)4]}$

手順
$\ce{H}$ の数を $\ce{H2}$ で合わせる。係数を整数にして完成。

$\ce{Al + NaOH + 3H2O -> Na[Al(OH)4] + \dfrac{3}{2} H2}$

$\ce{2Al + 2NaOH + 6H2O -> 2Na[Al(OH)4] + 3H2}$

酸化アルミニウムと過剰の水酸化ナトリウム水溶液による錯イオンの生成

化学反応式は,$$\ce{Al2O3 + 2NaOH + 3H2O-> 2Na[Al(OH)]4}$$ である。

手順
問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

$\ce{Al2O3 + NaOH -> Na[Al(OH)]4}$

手順
$\ce{H, O }$ 以外の原子の数を揃える。

$\ce{Al2O3 + 2NaOH -> 2Na[Al(OH)]4}$

手順1の式において、左辺の $\ce{Al}$ が2個なので右辺も2をつけて、その結果$\ce{Na}$ が2個となるので左辺もそれに合わせた。

手順
$\ce{O}$ の数を $\ce{H2O}$ で合わせる。

$\ce{Al2O3 + 2NaOH + 3H2O-> 2Na[Al(OH)]4}$

手順
$\ce{H}$ の数を $\ce{H2}$ で合わせる。係数を整数にして完成。

今回は $\ce{O}$ の数が同じであるから,手順3で完成している。

鉛と過剰の水酸化ナトリウム水溶液による錯イオンの生成

化学反応式は,$$\ce{Pb + 2NaOH + 2H2O -> Na2[Pb(OH)4] + H2}$$ である。

手順
問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

$\ce{Pb + NaOH -> Na2[Pb(OH)4]} $

手順
$\ce{H, O }$ 以外の原子の数を揃える。

$\ce{Pb + 2NaOH -> Na2[Pb(OH)4]}$

手順
$\ce{O}$ の数を $\ce{H2O}$ で合わせる。

$\ce{Pb + 2NaOH + 2H2O -> Na2[Pb(OH)4]}$

手順
$\ce{H}$ の数を $\ce{H2}$ で合わせる。係数を整数にして完成。

$\ce{Pb + 2NaOH + 2H2O -> Na2[Pb(OH)4] + H2}$

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