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錯イオン・錯塩に関するイオン反応式,化学反応式の作り方

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  • アンモニアや水酸化ナトリウムと反応して錯イオンを作るときの反応式の作り方が知りたい。

  • 反応式にいつ 水$\,\ce{H2O}\,$が出てきたり、水素$\,\ce{H2}\,$が出てくるのかが分からない。

この記事では上記の疑問が解決できるように、錯イオン・錯塩が絡む反応式について紹介します。

錯イオンそのものの話に関しては,こちらのページを確認してください。

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目次

アンモニア水によって錯イオンを形成する場合

反応式を作るだけであれば,次の手順でできます。

手順(アンモニア Ver.)

手順 1 問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

手順 2 金属と配位子の数を見て,係数をつける。

手順 3 金属についている化学種がアンモニアと交換されることで,追い出されるイメージを持って残りを書く。

過剰のアンモニアによって錯イオンを形成する代表的な例は $\ce{Cu, Ag, Zn}$です。(稀に$\ce{Ni}$も登場します。)

上記の手順を守れば、反応式にいつ 水$\,\ce{H2O}\,$や水素$\,\ce{H2}\,$が出てくるのかを暗記する必要はありません。

水酸化銅(II)と過剰のアンモニア水による錯イオンの生成

作りたいイオン反応式は、$$\ce{Cu(OH)2 + 4NH3 -> [Cu(NH3)4]^2+ + 2OH-} $$

手順
問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

$\ce{Cu(OH)2 + NH3 -> [Cu(NH3)4]^2+}$

手順
金属と配位子の数を見て係数をつける

$\ce{Cu(OH)2 + 4NH3 -> [Cu(NH3)4]^2+}$

手順
金属についている化学種がアンモニアと交換されることで,追い出されるイメージを持って残りを書く。これで完成。
$\ce{Cu(OH)2 + 4NH3 -> [Cu(NH3)4]^2+ + 2OH-} $

この場合は$\ce{Cu}$についている $\ce{2OH-}$ が 4 つの $\ce{NH3}$ によって追い出された(交換された)と考えれば良い。

水酸化亜鉛と過剰のアンモニア水による錯イオンの生成

作りたいイオン反応式は、$$\ce{Zn(OH)2 + 4NH3 -> [Zn(NH3)4]^2+ + 2OH-}$$

手順
問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

$\ce{Zn(OH)2 + NH3 -> [Zn(NH3)4]^2+}$

手順
金属と配位子の数を見て係数をつける

$\ce{Zn(OH)2 + 4NH3 -> [Zn(NH3)4]^2+}$

手順
金属についている化学種がアンモニアと交換されることで,追い出されるイメージを持って残りを書く。これで完成。
$\ce{Zn(OH)2 + 4NH3 -> [Zn(NH3)4]^2+ + 2OH-}$

酸化銀と過剰のアンモニア水による錯イオンの生成

作りたいイオン反応式は、

$\ce{Ag2O + 4NH3 + H2O -> 2[Ag(NH3)2]^+ + 2OH-}$


銀の場合は水酸化物$\,\ce{AgOH}\,$が不安定で,水溶液中では褐色の酸化銀に変化しています。$$\ce{2Ag+ + 2OH- -> Ag2O v}$$そのため,水酸化銀との反応というよりは酸化銀との反応で出題されることになります。

手順
問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

$\ce{Ag2O + NH3 -> [Ag(NH3)2]^+}$

手順
金属と配位子の数を見て係数をつける

$\ce{Ag2O + 4NH3 -> 2[Ag(NH3)2]^+}$

※ $\ce{Ag}$ の個数に注意。

手順
金属についている化学種がアンモニアと交換されることで,追い出されるイメージを持って残りを書く

$\ce{Ag2O + 4NH3 -> 2[Ag(NH3)2]^+ + O^2-}$

手順
両辺に $\ce{H2O}$ を足して,$\ce{O^2-}$ を消去して完成。
$\ce{Ag2O + 4NH3 + H2O -> 2[Ag(NH3)2]^+ + 2OH-}$

$\ce{O^2-}$ は水中ではかなり不安定で,すぐに $\ce{H2O}$ と反応する。そのため最後にこの手順が必要となる。

水酸化ナトリウム水溶液によって錯イオンを形成する場合

実際に生じている現象に則って反応式を作ることもできますが,次に示すように酸化還元反応の半反応式をつくるような手順でつくることもできます。最後だけ $\ce{H}$ の数をあわせるときに $\ce{H+}$ではなく $\ce{H2}$ で合わせるところだけ注意しましょう。

手順(水酸化ナトリウム Ver.)

手順 1 問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

手順 2 $\ce{H, O }$ 以外の原子の数を揃える。

手順 3 $\ce{O}$ の数を $\ce{H2O}$ で合わせる。

手順 4 $\ce{H}$ の数を $\ce{H2}$ で合わせる。係数を整数にする。

過剰の水酸化ナトリウム水溶液によって錯イオンが生成する元素は両性元素($\ce{Al, Zn, Sn, Pb}$)です。

上記の手順を守れば、反応式にいつ 水 $\ce{H2O}$ や水素 $\ce{H2}$ が出てくるのかを暗記する必要はありません。

アルミニウムと過剰の水酸化ナトリウム水溶液による錯イオンの生成

作りたい化学反応式は

$\ce{2Al + 2NaOH + 6H2O -> 2Na[Al(OH)4] + 3H2}$

手順
問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

$\ce{Al + NaOH -> Na[Al(OH)4]}$

手順
$\ce{H, O }$ 以外の原子の数を揃える。

今回は $\ce{Al, Na}$ の数がすでに揃っている。
$\ce{Al + NaOH -> Na[Al(OH)4]}$

手順
$\ce{O}$ の数を $\ce{H2O}$ で合わせる。

$\ce{Al + NaOH + 3H2O -> Na[Al(OH)4]}$

手順
$\ce{H}$ の数を $\ce{H2}$ で合わせる。係数を整数にして完成。

$\ce{Al + NaOH + 3H2O -> Na[Al(OH)4] + \dfrac{3}{2} H2}$

両辺を 2 倍して、

$\ce{2Al + 2NaOH + 6H2O -> 2Na[Al(OH)4] + 3H2}$

酸化アルミニウムと過剰の水酸化ナトリウム水溶液による錯イオンの生成

作りたい化学反応式は,$$\ce{Al2O3 + 2NaOH + 3H2O-> 2Na[Al(OH)]4}$$

手順
問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

$\ce{Al2O3 + NaOH -> Na[Al(OH)]4}$

手順
$\ce{H, O }$ 以外の原子の数を揃える。

$\ce{Al2O3 + 2NaOH -> 2Na[Al(OH)]4}$

手順1の式において、左辺の $\ce{Al}$ が2個なので右辺も2をつけて、その結果 $\ce{Na}$ が2個となるので左辺もそれに合わせた。

手順
$\ce{O}$ の数を $\ce{H2O}$ で合わせる。

$\ce{Al2O3 + 2NaOH + 3H2O-> 2Na[Al(OH)]4}$

手順
$\ce{H}$ の数を $\ce{H2}$ で合わせる。係数を整数にして完成。

今回は $\ce{O}$ の数が同じであるから,手順3で完成している。

鉛と過剰の水酸化ナトリウム水溶液による錯イオンの生成

作りたい化学反応式は,$$\ce{Pb + 2NaOH + 2H2O -> Na2[Pb(OH)4] + H2}$$

手順
問題文を読んで反応物を左辺に,生成物の錯イオンを右辺に記す。

$\ce{Pb + NaOH -> Na2[Pb(OH)4]} $

手順
$\ce{H, O }$ 以外の原子の数を揃える。

$\ce{Pb + 2NaOH -> Na2[Pb(OH)4]}$

手順
$\ce{O}$ の数を $\ce{H2O}$ で合わせる。

$\ce{Pb + 2NaOH + 2H2O -> Na2[Pb(OH)4]}$

手順
$\ce{H}$ の数を $\ce{H2}$ で合わせる。係数を整数にして完成。

$\ce{Pb + 2NaOH + 2H2O -> Na2[Pb(OH)4] + H2}$

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