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大阪大学 化学 2020年度 第3問 過去問解説

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問 1
① 1-ペンテンか トランス-2-ペンテンのどちらが安定かという問題。
図 2 の「水素を付加する際に発生する熱量」  を参考にする。

1-ペンテンは図2の上段の左,   トランス-2-ペンテンは図2 の上段の真ん中。
それぞれに水素を付加すると, 炭素骨格が同じなので同一の化合物となる。

水素を付加すると熱が発生するのだから, 以下のようにエネルギー図が書ける。


ゆえに, 「トランス-2-ペンテン」の方が安定だということが分かる。……(答)

空欄ア
文章中の「構造の類似」とは何だろう?
上の問題のように水素付加によって各化合物の安定性を考えているので, 「炭素骨格が同じもの 」が構造の類似しているものとして良さそうだ。

A2 の左の二重結合に注目すると, 「C=C」の右の炭素に直鎖のC3つがついていると考えて図2の上段左と類似 。
A2 の右の二重結合に注目すると, 「C=C」の左の炭素にC2つがついていると考えて図2の上段真ん中と類似 。
ゆえに A2 の水素化熱は 126 + 115 = 241 ( kJ / mol ) ……(答)と見積もることができる。

空欄イ
A3 の左の二重結合に注目すると, 「C=C」の右の炭素にC1つとC2つがついていると考えて図2の下段真ん中と類似 。
A3 の右の二重結合に注目すると, 「C=C」の左の炭素にC1つがついていて, その C にCが1つずつついていると考えて図2の下段左と類似 。
ゆえに A3 の水素化熱は 119 + 127 = 246 ( kJ / mol ) と見積もることができる。
問題文より実測値は 229 kJ / mol であるから, 246 – 229 = 17 ( kJ / mol ) ……(答)安定化していることが分かる。

問 2
アルコールの脱水反応は基礎知識。たとえば, 以下のようなもの。
$\ce{OH – CH2 – CH2 – CH3 -> CH2 = CH – CH3}$
一番左の炭素の $\ce{OH}$ と, 真ん中の炭素の $\ce{H}$ で脱水して, 炭素間で二重結合をつくる。

本問は A1 をつくるのだが, A1 には1番目と 4 番目に炭素間二重結合 があることを考えて,
$\ce{OH – CH2 – CH2 – CH2 – CH2 – CH2 – OH}$ ……(答)の2価アルコールを答えとすれば良いだろう。

ちなみに
$\ce{CH3 – CH(OH) – CH2 – CH2 – CH2 – OH}$ も良いじゃないかという声も聞こえてきそうだが, これを脱水すると A1 に加えて 2番目の炭素と 3 番目の炭素との間に 二重結合をもつ化合物もできてしまい, 「A1 を選択的に得る」という指示に反するので誤りである。

問 3
これは知識問題であるが, 大阪大学を目指す受験生であれば問題集などで確認しているであろう。シクロヘキサンの分子構造は, 平面六角形ではなく, 下の図のような形である。


それぞれの炭素に注目すると, メタンと同様の正四面体型の原子配置になっており, それが 6 個環状についていることがわかる。この図からも分かるようにほとんど 109.5°から角度がひずんでいないので, この内容をまとめていけば良い。ちなみにこの図における空間的な原子の配置を「いす型構造」と呼ぶ。(大学では「立体配座」の箇所で学習する。)

問4
グループ B の化合物で水素化したときにできる分子式 $\ce{C5H10}$ の化合物を考える。
B1 は炭素が5つの環状であるから, 炭素 4 つの環状, 炭素 3 つの環状の化合物を考えていけば良い。答えるのは水素化したの化合物だから, 答えの化合物に二重結合は含まれないことに注意。

問5
グループ C は二重結合を含まないもの。
問題文に「硫酸水銀(II) 触媒で水と反応」とあるので, この文からC末端に三重結合があることを思い出せないといけない。
これに水を付加させて二重結合を1つもつ化合物がヨードホルム反応を示すことを考えるとメチル基 $\ce{CH3}$ をもつ化合物でないといけない。
このことから構造が

に決まる。

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