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1大阪大 2012 第2問 コロイド、溶液の調整
解説
問1 必要な $\ce{FeCl3}$ の質量をまず求めておく。
$ 1.0 \ \mathrm{mol/L} × \displaystyle \frac{ 100 }{ 1000 }\ \mathrm{L}
= 0.10\ \mathrm{mol} $
塩化鉄 (III) 無水物のモル質量 [g /mol] $\ce{FeCl3} = 162.5 $ を用いて 、
$0.10\ \mathrm{mol}×162.5\ \mathrm{g/mol} =16.25$ g
正確なモル濃度である溶液を作りたい場合の実験手順は以下をチェック。
(スマホの場合は消費データ量に注意!)
問2 まずはしっかりとコロイド粒子のイメージを掴むべし。
水酸化鉄(III) の粒子は何個か(これを $n$ 個とする。)集まって1個のコロイド粒子を形成する。
$n\ \ce{Fe(OH)3 -> [Fe(OH)3]}_n$
限外顕微鏡で観察した箇所の溶液の体積は(注目する場所の底面積)×(高さ)で求まり、
$1.0\ \mathrm{mm} × 1.0\ \mathrm{mm^2} = 1.0\ \mathrm{mm^3}$
L に換算すると、 $1.0\ \mathrm{mm^3} = 1.0 × 10^{-6}\ \mathrm{L}$
よって限外顕微鏡で確認した場所におけるコロイド粒子の物質量は
$1.0 × 10^{-8}\ \mathrm{mol/L} × 1.0 × 10^{-6}\ \mathrm{L} = 1.0 × 10^{-14} \ \mathrm{mol}$
モル質量 $\ce{Fe(OH)3} = 107 $ を用いて、
$ 1.0 × 10^{-14}\ \mathrm{mol} × 107\ \mathrm{g/mol} = 1.07 × 10^{-12}\ \mathrm{g} $
これは、 100 個の粒子における質量であるから、
1個のコロイド粒子の質量は、
$1.07 × 10^{-12}\ \mathrm{g} × \displaystyle \frac{ 1 }{ 100 } = 1.07 × 10^{-14} \ \mathrm{g}$
となる。
また、これがアボガドロ数個集まったときの質量がコロイド粒子のモル質量となる。
$1.07 × 10^{-14}\ \mathrm{g} × 6.0 × 10^{23} \mathrm{/mol} = 6.42 × 10^{9} \ \mathrm{g/mol}$
このコロイド粒子は $\ce{[Fe(OH)3]}_n$ と書けるから、モル質量について方程式を立てて、
$107\ n = 6.42 × 10^{9}$ これを解いて、
$n = 6.0×10^{7}$
$\ce{Fe(OH)3}$ 1個につき、鉄原子も1個あるから、求める鉄原子の個数は、
$ 6.0×10^{7}$ 個である。
問3
コロイド 1 個の体積は、コロイド 1 個の質量と水酸化鉄 (III) の密度を用いて、
$\displaystyle \frac{ 1.07 × 10^{-14}\ \mathrm{g / 個} }{ 4.1\ \mathrm{g/cm^3} } =2.60 × 10^{-15}\ \mathrm{cm^3 / 個}$
また、このコロイド粒子は球とみなすので、球の体積の公式 $V = \displaystyle \frac{ 4 }{ 3 } πr^3$ を用いて次のように書ける。
$\displaystyle \frac{ 4 }{ 3 } πr^3 = 2.6 × 10^{-15} \mathrm{cm^3}$
$r^3 = 0.62 × 10^{-15}\ \mathrm{cm^3}$
$r^3 = 6.2 × 10^5\ \mathrm{nm^3} $
ここで、$6.2^{\frac{ 1 }{ 3 }}$ は厳しそうなので 選択肢を 3 乗していくことを考える。
(A) $1 \leqq r \leqq 5$ → $1 \leqq r^3 \leqq 1.25 \times 10^2$
(B) $5 \leqq r \leqq 10$ → $1.25 \times 10^2 \leqq r^3 \leqq 1.0 \times 10^3$
(C) $10 \leqq r \leqq 50$ → $1.0 \times 10^3 \leqq r^3 \leqq 1.25 \times 10^5$
(D) $50 \leqq r \leqq 100$ → $1.25 \times 10^5 \leqq r^3 \leqq 1.0 \times 10^6$
(E) $100 \leqq r \leqq 500$ → $1.0 \times 10^6 \leqq r^3 \leqq 1.25 \times 10^8$
(F) $500 \leqq r \leqq 1000$ → $1.25 \times 10^8\leqq r^3 \leqq 1.0 \times 10^9$
$r^3 = 6.2 × 10^5\ \mathrm{nm^3} $ に当てはまる選択肢は ( D )である。