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問1 硫化水素と二酸化硫黄
a 反応に関する正誤問題
1 $\ce{FeS}$ は弱酸の塩、$\ce{H2SO4}$ は強酸であるから、弱酸遊離反応により $\ce{H2S}$ が発生する。
$\ce{FeS + H2SO4 -> H2S ^ + FeSO4 }$ 正
2 $\ce{Na2SO4}$ は強酸の塩、$\ce{H2SO4}$ は強酸であるから、反応は起こらない。 誤
3 $\ce{H2S}$ は還元剤、$\ce{SO2}$ は酸化剤としてはたらき、 $\ce{S}$ を生成する。
$\ce{2H2S + SO2 -> 3S + 2H2O}$ 正
4 水溶液を用いているので、水が存在する。
$\ce{SO2}$ は水と反応すると 2 価の酸である亜硫酸 $\ce{H2SO3}$ となる。
ゆえに $\ce{NaOH}$ とは中和反応を起こす。
$\ce{H2SO3 + 2NaOH -> Na2SO3 + 2H2O}$ 正
b 二酸化硫黄の平衡反応とルシャトリエの原理
$\ce{2SO2 + O2 \rightleftarrows 2SO3}$
この正反応は発熱反応とあるから、正反応は温度を上げる反応で逆反応は温度を下げる反応である。
1 圧力を減少させるので、ルシャトリエの原理から圧力を上げる反応、すなわち粒子数が増加する方向に平衡が移動する。ゆえに平衡は左に移動する。 誤
2 温度を上昇させるので、ルシャトリエの原理から温度を下げる方向に平衡が移動する。ゆえに平衡は左に移動する。 正
3 素反応でない場合、反応式の係数からは反応速度式が決定できない。 正
4 平衡状態では正反応と逆反応の反応速度が等しく、見かけ上反応が停止しているように見える。 正
問2 試料中の硫化水素の含有量
($\ce{H2S}$ が出した $\ce{e-}$ の mol )+ ($\ce{S2O3^{2-}}$ が出した $\ce{e-}$ の mol)
= ($\ce{I2}$ が受け取った $\ce{e-}$ の mol )が成立する。
試料に含まれていた $\ce{H2S}$ を $x$ mol とおくと、
$2x+5\times\dfrac{5}{1000}\times1=\dfrac{0.127}{254}\times2$
$x=\dfrac{0.75}{2000}$ mol
したがって、問題の条件における $\ce{H2S}$ の体積は、
$\dfrac{0.75}{2000}\times22.4\times10^3=8.40$
正解の選択肢は 3 である。
問3 吸光度測定による二酸化硫黄の濃度の決定
a 検量線による濃度の決定
気体試料 B の透過率 $T$ が $0.80$ であったので、この値の常用対数をとって
$\log_10{0.80} = -0.10$
図1の下の文章内に、
『 $\log_{10}{T}$ は $c$ および $L$ と比例関係となる。』
とあるため、表1の表をグラフにすると直線となる。
本来であれば、横軸に $\log_{10}{T}$, 縦軸に $c$ をとって、表1のデータの点をグラフに打っていき直線を引く。(これが検量線。)
$\log_{10}{T} = -0.10$ となる点から $c$ を読み取ればそれが答えである。
しかし本問では、グラフが比例だと分かっているので、適当な2点をとって傾きが等しいという式を作れば良い。
$\log_{10}{T} = -0.10$ となるときの濃度を $x$ とおくと、
$\dfrac{-0.067-0}{2.0-0.0}=\dfrac{-0.10-(-0.067)}{x-2}$
$-0.0335=\dfrac{-0.033}{x-2}$
左辺を $-0.033$ とみなして
$1=x-2$
$x=3$
よって正答の選択肢は 3 である。
b 測定セル長の変更による透過率の変化
『 $\log_{10}{T}$ は $c$ および $L$ と比例関係となる。』ので、
$L$ が $2$ 倍になれば、 $\log_{10}{T}$ も $2$ 倍となる。
$\log_{10}{T}$ が $2$ 倍になれば $T$ は $2$ 乗の値となる。
上記の説明
$\log_{10}{T}=k$ とおくと $T=10^k$
$\log_{10}{T’}=2k$ とすると $T’=10^{2k}=(10^k)^2=T^2$ となる。
よって $T=0.80$ から $T^2=0.80^2=0.64$
正答の選択肢は 4 である。