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問1 条件を満たすアルコール
ア ヨードホルム反応を示さない。
選択肢 1 は、$\ce{CH3 – CH(OH) -}$ の部分構造を示すので、ヨードホルム反応を示す。よって選択肢 1 は除外。
残りの選択肢は全て、$\ce{CH3 – CH(OH) -}$ や $\ce{CH3 – CO -}$ の部分構造を持たないので、この条件を満たす。
イ 分子内脱水反応ができ、かつ生成したアルケンに $\ce{Br2}$ を付加させると、不斉炭素原子をもつ化合物が生成する。
分子内脱水反応は、「$\ce{-OH}$」 と、「その $\ce{-OH}$ が結合した $\ce{C}$ の隣の $\ce{C}$ に結合した $\ce{H}$」 で起こる。
脱水した後に臭素 $\ce{Br2}$ を付加して不斉炭素原子ができる化合物は、選択肢 3 である。
問2 芳香族化合物の知識
1 フタル酸は $o-$の位置にカルボキシ基が2つベンゼン環に結合している。これらで脱水して酸無水物(無水フタル酸)が生成できる。 正
2 アニリンは塩基性の物質であるから、塩酸にはよく溶けるが、水酸化ナトリウム水溶液には溶けない。 誤
3 ジクロロベンゼンには2つの $\ce{Cl}$ の位置によって、 $o-, m-, p- $ の3つの位置異性体が存在する。 正
4 アセチルサリチル酸の構造式を下に示す。フェノール性ヒドロキシ基が存在しないので、塩化鉄(III)水溶液を加えても、呈色しない。 正
問3 高分子化合物の構造と水素結合
1 セルロース分子中には多数の $\ce{-OH}$ が存在するため、分子内や分子間で水素結合をつくっている。この結合でできる2次構造は、セルロースの場合 $\beta -$ シート型と呼ばれる。 正
2 DNA分子中では、1本鎖どうしで水素結合によって塩基対 (A-T, G-C) が形成されおり、全体としては二重らせん構造をつくっている。 正
3 タンパク質のポリペプチド鎖は、 $\ce{C=O}$ と 同じ鎖の離れた場所の$\ce{N-H}$ の間で水素結合をすることにより、二次構造をつくっている。 正
4 ポリプロピレンは構成元素が $\ce{C, H}$ しかないため、水素結合は形成しない。(少なくとも$\ce{F, O, N}$ の存在が必要。) 誤
問4 トリグリセリド X の構造決定
a 付加可能な水素の物質量
1 分子の X には 4 個の $\ce{C=C}$ 結合が存在するので、
$\pu{1 mol}$ の X には $\pu{4 mol}$ の $\ce{H2}$ が付加できる。
$\dfrac{\pu{44.1 g}}{\pu{882 g/mol}} \times 4 = \pu{0.20 mol}$
b 脂肪酸の示性式の決定
X を完全に加水分解して得られる脂肪酸 A と脂肪酸 B の $$\pu{ mol} 比は $1 : 2$ とある。
1 分子中の X には 4 個の $\ce{C=C}$ 結合が存在するので、 A 1 つと B 2 つに含まれる $\ce{C=C}$ 結合の数が 4 個である。
A, B を過マンガン酸カリウム水溶液にそれぞれ加えると、いずれもその赤紫色が消えたことから、
A, B の両方ともに $\ce{C=C}$ 結合が存在する。
以上の条件においては A の $\ce{C=C}$ 結合が 2 個、B の $\ce{C=C}$ 結合が 1 個の組み合わせしかない。
選択肢のうち、該当する示性式は 3 である。
c ある酵素によるトリグリセリド X の加水分解
化合物 Y には鏡像異性体が存在しなかったので、不斉炭素原子が存在しないと考えて良い。
ゆえに、 $\waku{ア}$ には $\ce{H}$ が入る。
また、トリグリセリド X の構造の候補には下の 2 通りあるが、
トリグリセリド X には不斉炭素原子が存在する必要があることから、左の構造式に決まる。
ゆえに$\waku{\text{イ}}$ には $\ce{CO-R^B}$が入るので、正答は 4 である。