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問1 ハロゲンの性質
1 ハロゲン化水素 $\ce{HF, HCl, HBr, HI}$ の水溶液のうち、$\ce{HF aq}$のみが弱酸で残りは全て強酸である。 正
2 ハロゲン化銀 $\ce{AgF, AgCl, AgBr, AgI}$ のうち、$\ce{AgF}$のみが水に可溶である。沈殿は生じない。 正
3 ハロゲン化水素 $\ce{HF, HCl, HBr, HI}$ のうち、$\ce{HF}$のみが分子間で水素結合できるため、沸点が高い。 正
4 ハロゲンの単体は $\ce{F2, Cl2, Br2, I2 }$ の順に酸化力(反応相手を酸化させる能力)が小さくなっていく。
仮に文章通りの反応 $\ce{2HF + I2 -> F2 + 2HI}$ が起こるとすれば、$\ce{F}$ の酸化数が $-1 → 0$ と変化していることから、酸化力がより小さい $\ce{I2}$ が $\ce{HF}$ を酸化していることになり、矛盾している。 誤
問2 陽イオンの定性分析
操作1 希塩酸を加えて沈殿が生じなかったため、$\ce{Ag+}$ は存在しない。(存在すれば$\ce{AgCl v }$が生じるはずである。)
操作2 (塩酸酸性条件下で)硫化水素を加えて沈殿が得られたため、 $\ce{Cu^{2+}}$ が存在する。 → 選択肢3が一つめの正答。
操作3 続けて溶液を煮沸して硫化水素を追い出し、硝酸を加え冷却した後、過剰量のアンモニアを加えたところ、沈殿が生じなかった。このことから、$\ce{Al^{3+}, Fe^{3+}}$は存在しないことが分かる。
(存在すれば、$\ce{Al(OH)3 v, Fe(OH)3 v }$ が生じるはずである。)
操作4 (アンモニア塩基性条件下で)硫化水素を加えて沈殿が得られたため、$\ce{Zn^{2+}}$ が存在する。 →選択肢5が二つめの正答。
問3 1族・2族の金属元素
a グラフによる元素の決定
X, Y のどちらが $1$ 族元素で、どちらが $2$ 族元素かは問題文からすぐには読み取れない。
$1$ 族元素のうち$\ce{Na}$を例に挙げると、希塩酸または水との反応は次の通り。
$\ce{2Na + 2HCl -> 2NaCl + H2}$
$\ce{2Na + 2H2O -> 2NaOH + H2}$
計算しやすいように$\pu{22.4 mL} = \pu{1 mmol}$ (ミリモル。モルの$\dfrac{1}{1000}$倍を表す。) の $\ce{H2}$ が生成したとすると、
反応した$\ce{Na}$の物質量は、希塩酸・水のいずれにしても $\pu{2 mmol}$ 使われるはずである。
したがって $1$ 族元素に関して各金属の原子量を用いて $\pu{2 mmol}$ 分の質量を計算していくと、
$\ce{Li} = \pu{2 mmol} \times \pu{6.9 g/mol} = \pu{13.8 mg}$
$\ce{Na} = \pu{2 mmol} \times \pu{23 g/mol} = \pu{46 mg}$
$\ce{Li} = \pu{2 mmol} \times \pu{39 g/mol} = \pu{78 mg}$
グラフ中で $\ce{H2} = 22.4$となるように横線を引いたときに、上記の数値に該当するのは、●(Y) の $\pu{46 mg}$ 付近。
ゆえに Y = $\ce{Na}$
$2$ 族元素のうち $\ce{Ca}$ を例に挙げると、希塩酸または水との反応は次の通り。
$\ce{Ca + 2HCl -> CaCl2 + H2}$
$\ce{Ca + 2H2O -> Ca(OH)2 + H2}$
先と同様、$\pu{22.4 mL} = \pu{1 mmol}$ の $\ce{H2}$ が生成することを考えると、
反応した $\ce{Ca}$ の物質量は、希塩酸・水のいずれにしても $\pu{1 mmol}$ 使われるはずである。
したがって $2$ 族元素に関して各金属の原子量を用いて $\pu{1 mmol}$ 分の質量を計算していくと、
$\ce{Be} = \pu{1 mmol} \times \pu{9 g/mol} = \pu{9 mg}$
$\ce{Mg} = \pu{1 mmol} \times \pu{24 g/mol} = \pu{24 mg}$
$\ce{Ca} = \pu{1 mmol} \times \pu{40 g/mol} = \pu{40 mg}$
グラフ中で $\ce{H2} = 22.4$ となるように横線を引いたときに、上記の数値に該当するのは、×(X) の $\pu{24 mg}$ 付近。
ゆえに、X = $\ce{Mg}$
b 元素分析の実験装置
混合物 A を加熱すると、生成物として水と二酸化炭素が生成するとある。これらの気体を吸収管で捕集するとあるので、有機化学の始めに学んだ元素分析と同じ装置である。
すなわち、吸収管Bに乾燥剤である塩化カルシウムを入れて水を吸収できるようにして、吸収管Cにソーダ石灰を入れて二酸化炭素のみを吸収できるようにすれば良い。
吸収管Bにソーダ石灰を入れてしまうと、水と二酸化炭素の両方を吸収してしまうから不適当である。
c 燃焼反応による $\ce{MgO}$ の含有率の決定
混合物 A を加熱すると $\ce{MgO}$ は変化せず、残りは次のように反応する。
$\ce{Mg(OH)2 -> MgO + H2O}$
$\ce{MgCO3 -> MgO + CO2}$
ゆえに加熱後に残った $\pu{2.00 g}$ の$\ce{MgO} = \dfrac{\pu{2.00 g}}{\pu{40 g/mol}} = \pu{0.0500 mol}$ は、元から存在する分と、上記の反応で生成した分の合計値である。
$\ce{H2O}$ は $\dfrac{\pu{0.18 g}}{\pu{18 g/mol}} = \pu{0.0100 mol}$
$\ce{CO2}$ は $\dfrac{\pu{0.22 g}}{\pu{44 g/mol}} = \pu{0.0050 mol}$
上記の2つの反応式より、$\ce{H2O} : \ce{MgO} = 1 :1, \ce{CO2} : \ce{MgO} = 1 :1 $ のモル比で反応することが分かるので、
生成した $\ce{MgO} $の合計は、
$ \pu{0.0100 mol} + \pu{0.0050 mol} = \pu{0.0150 mol}$
したがって、求める割合は、
$\dfrac{ \pu{0.0500 mol}-\pu{0.0150 mol}}{ \pu{0.0500 mol}} \times 100 = 70$
ゆえに答えは、$70$ %