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【共通テスト本試験】2022年度 化学 第1問・第2問 過去問解説

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目次

第1問 | 理論化学

$\waku{1}$$2$$\waku{4}$$4$
$\waku{2}$$2$$\waku{5}$$2$
$\waku{3}$$4$$\waku{6}$$3$

問1

$\waku{1}$
原子中の電子殻は内側から順番に $\rm{K}$ 殻、$\rm{L}$ 殻・・・と続きます。
$\rm{K}$ 殻には電子が$2$個しか入らないことに気をつけると、この原子の電子配置は $\rm{K} (2) \rm{L} (3)$。

よって原子番号$5$の元素である $\bold{\ce{B}}$ が答えとなります。

問2

$\waku{2}$
$\ce{NH4Cl}$ の窒素の含有率(質量パーセント)を出すには次のように考えれば良いです。

式量(分子量)はモル質量 [ $\pu{g /mol}$ ] と同じ値なので、 $\pu{1 mol}$ の物質の質量は式量(分子量)の値に等しいです。
$\pu{1 mol}$ の$\,\ce{NH4Cl}\,$は、$\ce{NH4Cl} = 14 + 4 + 35.5 = 53.5\,\pu{g}\,$で、そのうち $\ce{N}$ 原子は$1$個だから$\ce{N} = \pu{14 g}$。

したがって、$\f{\pu{14 g} \x 1}{\pu{53.5 g/mol}} \x 100$ が含有率です。

同様に全て$\pu{1 mol}$で考えて、

$\ce{(NH2)2CO}$ は $\f{\pu{14 g} \x 2}{\pu{60 g}} \x 100$

$\ce{NH4NO3}$ は $\f{\pu{14 g} \x 2}{\pu{80 g}} \x 100$

$\ce{(NH4)2SO4}$ は $\f{\pu{14 g} \x 2}{\pu{132 g}} \x 100$

これらの大きさを比較するために分子を$\,14\,$に揃えます。

$\ce{NH4Cl}$ は $\f{\pu{14 g} }{\pu{53.5 g}} \x 100$

$\ce{(NH2)2CO}$ は $\f{\pu{14 g} }{\pu{30 g}} \x 100$

$\ce{NH4NO3}$ は $\f{\pu{14 g}}{\pu{40 g}} \x 100$

$\ce{(NH4)2SO4}$ は $\f{\pu{14 g}}{\pu{66 g}} \x 100$

これらの値が大きいものは、分母の数値が小さいものなので、答えは $2$ の $\ce{(NH2)2CO}$ です。

問3

$\waku{3}$
グラフの縦軸が「混合気体の密度」、横軸が「$\rm{A}$ の分圧」なので$$d = ( P_A \text{の式})$$で表現することを考えましょう。
$\rm{A, B}$ の合計の物質量を $n\,[\pu{mol}]\,$, 混合気体の密度を$\,d\,[\pu{g/L}]\,$, 平均分子量を$\,M\,$, 絶対温度を$\,T\,[\pu{K}]\,$とおきます。
$$\begin{align}
PV &= nRT \\
\\
PV &= \f{w}{M}RT\\
\\
PM &= \f{w}{V}RT\\
\\
d &= \f{P_0 M}{RT}
\end{align} $$
ここで密度 $d [ \pu{g/L} ]$ が $\f{w [ \pu{g} ]}{V [ \pu{L} ]}$ であることを用いています。

問題文中で$\,\rm{A, B}\,$をさまざまな割合で混合するとあるので、それぞれのモル分率を $x, 1-x$ とおくと、
$$M = M_A x + M_B (1-x) = (M_A – M_B)x + M_B$$ とかけます。

$M_A < M_B$ であるから$$M = (M_A – M_B)x + M_B$$において$\,M\,$は$\,x\,$の(減少する)$1$次関数です。
したがって、$$d = \f{P_0 M}{RT} = \f{P_0 \{(M_A – M_B)x + M_B \}}{RT} $$ もまた、$\,M\,$は$\,x\,$の(減少する)$\,1\,$次関数です。

ところで$\,x\,$は$\,\rm{A}\,$のモル分率であり、(モル比) = (分圧比)が成立するので、$\,x\,$が大きくなるほど$\,\rm{A}\,$の分圧$\,P_A\,$も大きくなります。

以上から、グラフが$\,1\,$次関数で減少しているものを選べば良いので、答えは$\,4\,$です。


もっと変形すると、$P_A = \f{x}{x+(1-x)}P_0 = xP_0$ より
$$\begin{align}
d &= \f{P_0 \{(M_A – M_B)x + M_B \}}{RT} \\
\\
&= \f{P_0 \{(M_A – M_B)x\}}{RT} + \f{P_0 M_B}{RT}\\
\\
&= \f{P_A (M_A – M_B) }{RT} + \f{P_0 M_B}{RT}\\
\\
&= \f{M_A – M_B}{RT}P_A + \f{P_0 M_B}{RT}\\
\end{align}$$
これで$\,\rm{A}\,$の式にできました。
$\,M_A – M_B < 0\,$より$\,d = -ax + b\,$の形でかけるので$\,4\,$のグラフを選べば良いです。

問4

$\waku{4}$
ポリエチレンの結晶の部分の割合が増えるとかたくなり、非結晶の割合が増えるとやわらかくなります。$\,4\,$が誤りです。

なお、エチレンを重合するときの重合条件によって、低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレンが生成します。低密度ポリエチレンは非結晶領域が比較的多く、柔軟です。高密度ポリエチレンは結晶領域が比較的多く、強度が大きいです。

問5

$\waku{5}$
a
図$1$のグラフより、$\pu{1 L}$ の水に溶ける$\,\ce{O2}\,$の量は
$10 \dc\,$のとき$\,\pu{1.75E-3 mol}\,$、$20 \dc\,$のとき$\,\pu{1.40E-3 mol}\,$と読めます。

$\pu{20 L}$ の水に溶ける$\,\ce{O2}\,$の量は
$10 \dc\,$のとき$\,\pu{1.75E-3 mol} \x 20\,$、$20 \dc\,$のとき$\,\pu{1.40E-3 mol} \x 20\,$となります。
この差が変化量に相当するため、答えは

$$\ppu{1.75E-3 mol} \x 20 \,-\, \ppu{1.40E-3 mol} \x 20 = \pu{0.35E-3 mol} \x 20 = \pu{7.0E-3 mol}$$

の減少となります。

$\waku{6}$
b
図$\,1\,$より、$20 \dc\,$のとき水$\ppu{1 L}$に溶ける$\cce{N2}$の量は$\ppu{0.70E-3 mol}$と読めます。

全圧が$\,\pu{5.0E5 Pa}\,$の空気中の$\cce{N2}$の分圧は$\ppu{5.0E5 Pa}\x\f{4}{5}=\ppu{4.0E5 Pa} $です。
よって図$\,2\,$の左の図での水に溶ける$\cce{N2}$の量は、ヘンリーの法則より、$$\pu{0.70E-3 mol}\x \f{\pu{4.0E5 Pa}}{\pu{1.0E5 Pa}}=\pu{2.8E-3 mol}$$

全圧が$\,\pu{1.0E5 Pa}\,$の空気中の$\cce{N2}$の分圧は$\ppu{1.0E5 Pa}\x\f{4}{5}=\ppu{0.80E5 Pa}$です。
よって図$\,2\,$の右の図での水に溶ける$\cce{N2}$の量は、ヘンリーの法則より、$$\pu{0.70E-3 mol}\x \f{\pu{0.80E5 Pa}}{\pu{1.0E5 Pa}}=\pu{0.56E-3 mol}$$

したがって遊離した$\cce{N2}$の標準状態における体積は、$$(\ppu{2.8E-3 mol}-\ppu{0.56E-3 mol}) \x \pu{22.4E3 mL/mol} \yaku \ppu{50 mL}$$

第2問

問1

$\waku{7}$
1 : 燃焼反応では必ず発熱します。

2 : 中和反応ではは必ず発熱します。特に強酸・強塩基の組み合わせであれば、中和熱の値はほぼ一定値を示します。($\ppu{56.5 kJ / mol}$)

3 : 物質の溶解は発熱・吸熱の両方の場合があります。

$\ce{NaCl (固) + aq = Na+ aq + Cl- aq – 3.9 kJ} $

$\ce{NaOH (固) + aq = Na+ aq + OH- aq + 44.5 kJ}$

4 : 液体から固体になるとき、粒子の平均の運動エネルギーが減少するため、外にエネルギーが出ていくことになります。
ゆえにこの反応( 凝固 )は発熱です。

答えは$\,\bold{3}\,$です。

問2

$\waku{8}$
酢酸ナトリウムは弱酸の塩、塩酸は強酸なので、弱酸遊離反応が起こります。
$\ce{CH3COONa + HCl -> CH3COOH + NaCl}$

酢酸ナトリウムも塩酸も同じ $\ppu{0.060 mol/L} \x \f{50}{1000} \ppu{mol}$だけ反応させています。
よって、反応後は酢酸ナトリウムと塩酸が無くなって、酢酸が$\ppu{0.060 mol/L} \x \f{50}{1000} \ppu{mol}$生成します。
あとは弱酸の$\,\rm{pH}\,$の求め方にしたがって、計算していくだけです。
この$\cce{CH3COOH}$のモル濃度は$\ppu{0.060 mol/L} \x \f{50}{1000} \ppu{mol} \x \f{1000}{100} \ppu{/L} = \ppu{0.03 mol/L}$なので、
$$\begin{align}
[\cce{H+}] &= \sqrt{CK_a} \\
\\
&= \sqrt{0.03 \x (\ppu{2.7E-5})} \\
\\
&= \pu{9.0E-4}
\end{align}$$
したがって答えは$\,\bold{3}\,$です。

問3

$\waku{9}$
平衡状態での $[\bold{\rm{B}}]$ の値が聞かれています。

A $\Large{\rightleftarrows}$ B + C
反応前 $1$ $0$ $0$
変化量 $-x$ $+x$ $+x$
反応後 $1-x$ $x$ $x$



平衡定数$\,K\,$の値が分かれば、$K=\f{[\rm{B}][\rm{C}]}{[\rm{A}]}$ を使って答えが求められそうです。

平衡状態では正反応と逆反応の速度が等しくなっているので $v_1 = v_2$ です。この式に問題文中の反応速度式を代入すると、
$$\begin{align}
v_1 &= v_2\\
\\
k_1[\rm{A}] &= k_2[\rm{B}][\rm{C}]\\
\\
K &= \f{[\rm{B}][\rm{C}]}{[\rm{A}]} = \f{k_1}{k_2}
\end{align}$$
問題文中の $k_1 = \pu{1E-6 /s}, k_2= \pu{6E-6 L/(mol \cdot s)}$ の値を代入して、表の値も代入していくと、
$$\begin{align}
\f{x \x x}{1-x} &= \f{\pu{1E-6}}{\pu{6E-6}}\\
\\
6x^2 + x – 1 &= 0\\
\\
x &= \f{1}{3} \hspace{5mm} (\because x > 0)
\end{align}$$

問4

a
$\waku{10}$
問題文の情報から、(水素吸蔵合金 X の体積) $\x 1200 = $ ($\cce{H2}$の体積)という関係式が立てられます。
$$\f{\pu{248 g}}{\pu{6.2 g/cm^3}} \x 1200 = \pu{48E3 cm^3}$$
聞かれている単位は$\ppu{mol}$なので、標準状態のモル体積を用いて、
$\f{\pu{48E3 cm^3}}{\pu{22400 cm^3/mol}} \yaku \ppu{2.14 mol}$

($\pu{1 cm^3} = \pu{1 mL}$ なので、$$\begin{align} \ppu{22.4 L/mol} &= \ppu{22400 mL/mol}\\ &= \ppu{22400 cm^3/mol}) \end{align}$$

以上より答えは$\,\bold{4}\,$です。

b
$\waku{11}$
図をよく見ると電子の流れる向きが指定されています。
イオン反応式をで逆にしないように気をつけましょう。

負極 $\ce{H2 -> 2H+ + 2e-}$

正極 $\ce{O2 + 4H+ + 4e- -> 2H2O}$

したがっては$\cce{H2}$, は未反応の$\cce{H2}$, は$\cce{O2}$, は未反応の$\cce{O2}$と生成物の$\cce{H2O}$です。答えは$\,\bold{4}\,$。

c
$\waku{12}$
負極と正極の式を1つにまとめる($\cce{e-}$を消去する)と、
$\ce{2H2 + O2 ->[4e-] 2H2O}$

$\cce{H2}$は$\ppu{2.00 mol}$,$\cce{O2}$は$\ppu{1.00 mol}$反応したので、上記の化学反応式の係数比を見ると過不足なく反応することが分かります。よって$\ce{e-}$も係数比にしたがって、$\ppu{4.00 mol}$流れたことになります。
求める電気量 [$\ppu{C}$]は、$\pu{4.00 mol} \x \pu{9.65E4 C/mol} = \pu{3.86E5 C}$
答えは$\,\bold{4}\,$です。

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